2017 IAU 24時間走世界選手権 報告および暫定結果

第12回 IAU 24時間走世界選手権は、7月1-2日に英国・北アイルランドのベルファストで開催され、41ヶ国290名の代表選手が出走し覇権を競った。市郊外のビクトリアパークに設営された1周1652mのコースは、粒状の小石が表面に出る特殊な舗装路で、途中に高低差約4mほどのやや勾配の気になるアップダウンポイントも含まれており、選手によっては走行に影響を受けたようだった。気象条件も、6月下旬の日本と比べるとかなり肌寒く、日中でも20℃を下回り、朝晩は10℃前後になる上に、レース序盤にはまとまった雨が降り、その一方で、一晩明けた終盤には日差しで日焼けするほどになるなど、その変化への適切な対応も求められた。

レースは、男女とも序盤から全体的に速いペースで推移し、中盤以降に失速する選手が増加していく中、日本男子は堅実な走りを貫き、個人では石川選手が初出場初優勝を飾った。高橋選手も昨年の神宮外苑大会の再現かのような終盤の追い込みを見せ、さらに前半型のチームキャプテンの楢木選手も後半粘った結果、国別対抗競技でもラスト数時間で一気に相対順位を上げて、7年ぶりの優勝を手にした。

日本勢の女子も、前半から各自がベストを更新するようなペースで積極的に走ったが、コース、気象条件、補給、そして何より世界選手権という舞台にも翻弄されたのか、後半は苦戦する姿が目立った。そのような中、松本選手は自己ベストを更新して230km台に乗せ、青谷選手もベストに近い距離を確保して、国別対抗競技でも上位に食い込んだ。

なお、レース中に計測システムのトラブルがあり、具体的な記録については無視できない変更を生じる可能性があり、予断を許さない状況にあるが、日本男子の個人・団体のダブル優勝については記録修正の有無の影響を受けないものと推察される。

女子では、今年4月初頭に母国内の大会において日本の工藤真実選手が保持していた24時間走の世界記録(全路面・2011年)を上回る256km超の記録を出しながら、計測データ管理の不備などから公認が微妙な状況になって保留されるなどすっきりしない状況に置かれていたポーランドのBereznowska選手が、わずか3ヶ月弱の短いインターバルで、世界選手権という舞台においてさらに自身の記録を伸ばし、文句のつけようがない世界記録誕生かと思われた。しかし、よりによって今回も計測システムの不備に見舞われてしまい、不運に取り憑かれたかのような形になってしまった。いずれにしても、世界から現地に集まった人々がBereznowska選手が世界記録樹立者に相応しい走りをしていたことを実際に目の当たりにしており、その強さに疑いを抱くものはいないであろう。また、同じくポーランドのNiwinska選手も250kmを超えており、2017年に入って2月のDauwalter選手(米国)を含めて世界で新たに250kmを突破した女子選手が3人となり、近年の世界的な流れとして女子のレベルアップがさらに強く印象付けられた大会であった。

同大会では、初めて24時間走の世界マスターズ選手権とのタイアップが実現しており、日本勢では男子40-44歳のカテゴリーで楢木選手が銅メダルを獲得した。