IAU50キロ・ワールドトロフィー・ファイナル2010

岩山選手、大健闘で4位入賞!

8月29日、アイルランドのゴールウェイで行われた第2回IAU50キロ・ワールドトロフィー・ファイナルにおいて日本から参加の岩山海渡(千葉陸協)が、健闘し4位に入賞した。
同レースは、世界で30の50キロの選考大会から選ばれたエリート・ランナーたちによる決勝・グランプリ大会。 男子24名、女子16名が参加、覇を競った。

 

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スタート前

レース会場のゴールウェイは、ダブリンから車で約2時間、アイルランドの西海岸側に位置し、急成長した文化都市。
コースは、42.195kのマラソンコースを2周回し、最後にはゴールウェイ市の中心地のショートコースを4周するというもの。基本的にはフラットだか、13キロと34キロ地点でのアップダウンが最大の難所だった。

気温は10℃を少し超える程度で、「寒いぐらい」(岩山選手)。
男子のレースは、選考レースで、2時間55分を切ったマカザ(ジンバブエ)、ヌヌザ(南アフリカ)、ムティ(南アフリカ)の3者が34キロ位まで後続を離していたが、34キロ地点からマカザが単独で飛び出し、2位のヌヌザに5分以上の差をつけ、優勝した。
女子のレースは、5キロ過ぎから単独のトップを維持したハリソン(イギリス)が3時間15分42秒で優勝した。

 

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トップ3

選考大会(サロマ湖)で3時間4分4秒の岩山選手は、事前ランキングでは10位であったが、予想をはるかに上回る好タイム、2時間56分19秒で4位に入賞した。自己記録を約8分短縮しての健闘は見事だった。

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岩山海渡選手

レース結果
男子:
1位 コリーン・マカザ(ジンバブエ)2:47:21
2位 サンディル・ヌヌザ(南アフリカ)2:53:05
3位 マイケル・ウォーディアン(アメリカ)2:54:56
4位 岩山海渡 (日本)2:56:19
5位 ルーカス・ノニヤナ(南アフリカ)2:56:56

女子:
1位 スーザン・ハリソン(イギリス)3:15:42
2位 メアリー・コールト(アメリカ)3:28:30
3位 イレーヌ・カルター(オランダ)3:34:21
4位 ヘレン・タラナウスキー(イギリス)3:40:09

 

岩山海渡選手のレポート

この度、IAU50kmワールドトロフィー・ファイナルに参加させて頂きました。
アイルランド・ゴールウェイまでは乗り継ぎなども含めると、ほぼ丸一日かかる道のりでした。移動時間に加え、不慣れな土地であることや会話はすべて英語(当然ですが・・・)であること、パンが主な食事であることなど日本とはあまりに違う環境に戸惑うことばかりでした。レースに臨む前に気持ちが折れてしまいそうでしたが、『せっかくここまで来たのだから、思いっきりやってやろう』そう開き直ることでかえって集中してスタートを迎えることができました。

8月29日 午前9:00、盛大に盛り上がっている中でいよいよスタート、、、と思いきや、なかなかスタートの合図がない。それどころかスタート時刻を過ぎても余興のダンスが終わらない。5分が過ぎたころ、大会関係者らしき人から「あと5分でスタートします」との話がありましたが、結局約15分がすぎたころに突然カウントダウンがはじまり、ようやくスタート。

レースは予想に反してスローペースで始まりました。アフリカ勢5人を含めた8人くらいが前方に布陣。2kmを過ぎたあたりでアフリカ勢がペースアップ。そこにはついていかず自分のペースを守る走りを心がけました。その後アメリカの選手が一人飛び出し、僕は背の高い白人選手と併走、それが20km付近まで続きました。コースはゴールウェイ市街地を含む21.1kmを2周と約2kmを4周の周回コース。
コースについては事前に聞いていた内容と違う点が多々ありました。例えば・・・

・ フラットなコース⇒小刻みなアップダウンが続く
・ 非常に天候が良い⇒小雨ながら雨風がランナーを襲う
・ 交通安全上の問題はない⇒交通整理がされておらず、中央線付近で車を避けながら走行
・ 距離表示は1マイル毎と5km毎⇒マイル表示はまちまち、km表示は15kmまで、など。

しかし、気にしても仕方ないと動じず走り続けました。
ハーフ手前ほどから一人旅になり、ひたすら前に進む苦しい展開になりましたが、(おそらく)35km付近で前を行く南アフリカ選手の背中が見えてきました。その選手を40kmすぎにかわし、そこから小さな周回に入りました。
2周したころ、南アフリカ選手2人の背中が見えてきましたが、周回コースのため自分の前を走る選手なのかどうか判断できませんでした。とにかく前に行くだけだと思い、ラスト1周を過ぎたところでその選手をかわし、息も絶え絶えゴール!スピードを緩め、ホッと一安心していると沿道の方から「まだゴールじゃないぞ」との声。僕がゴールだと思っていた華やかなゲートはフルマラソンの部のゴールらしく50kmはもっと先だったようです。約200m先に用意された小さなゲートに向かって再度走り出し、今度こそ本当にゴール。
タイムは時計でわかるものの、順位がまったくわからない状況でしたが、「4位」との知らせを受けとても驚きました。
先頭争いからは早々と離脱してしまいましたが、トップが驚異的なペースであったため上位陣が崩れたのではないかと思います。
予想外の順位でしたが、あと一歩で表彰台・・・ということを考えると少し悔しい気持ちもあります。

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岩山海渡選手ゴール

今回のレースを終えて感じたことは、「平常心」を保つことの大切さです。
海外のレースは日本のレースほどきっちりしていることはまずないと思います。『食事はご飯が食べたい』『時間通りスタートしない』『コースを案内してくれない』『車にひかれそうになる』など、諸々の問題がありましたが、“気にしない”ことが求められるのだと思います。そういった意味で非常に貴重な経験をさせて頂きました。

今回、日本の代表として参加させて頂き、各国の選手と交流することができました。アフリカの選手たちと話をする機会もたくさんあり、とても良い経験となりました。もっと英語の勉強をしなければいけないと痛感しましたが・・・。

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コリーン・マカザ選手(ジンバブエ)と岩山海渡選手

最後になりますが、今回様々なご手配をして頂いたIAUアジア理事の小林様をはじめ、ご協賛頂いた日清ファルマ株式会社、レースディレクターのRichard、IAUのNadeem、その他大勢の方々のご支援があって今回のレースに参加することができましたことを心から感謝申し上げます。
また機会があれば日の丸をつけて走ってみたいと思います。ありがとうございました。