安孫子( SONY Atsugi RC)が4位、男子国別団体で5位入賞
2012年のIAU 24時間走世界選手権は9月8日〜9日にポーランド南部の小都市カトヴィツェで開催された。昨年(2011年)の開催中止を挟んで2年ぶり通算9回目となる今大会は、公園の池の周囲をほぼ長方形に周る1.54487 kmの道路コースを舞台にして行われた。
大会には史上最多となる34カ国から総勢248人の出走があり、24時間走競技の国際的な普及の機運が感じられた。前回まで6年連続団体優勝の日本男子は、そのチーム力の高さに対する各国からの評価が定着しており、今年もその戦いぶりが注目されていたが、そのプレッシャーに潰されまいと、日本チームはスタート直前に円陣を組んで健闘を誓い合った。
日本の厳しい残暑からは信じられないような快適な気温(約14℃)と小雨模様の下で正午にスタートしたレースは、1周目から優勝候補のアメリカのモートンが評判通りの抜群のスピードで周回を重ねた。軽い起伏とレンガ張り区間を含むコースは、タフだが基本的に高速コースと目された。日本勢は前回大会優勝の井上が果敢に前を追って、工藤は女子のトップを引き、続いて本田、古北、安孫子、大島が予定通りの5分/kmのペース走の集団を確立した。一方、体調に不安を抱える伊藤、鈴木、男子の竹田はマイペースの走りに徹した。
現地に入って体調を崩していた鈴木は2時間経たずに無念のリタイヤ。2時間あたりで集団走の4人がペースの落ちた井上、工藤を捕らえ、日本男子5人の集団が一時的に形成されることになった。4時間ほどから不調を訴えてペースダウンしていた工藤は、結局12時間余りでレースから退いた。日本男子の集団も中盤にかかってばらけだしたが、井上、安孫子が踏ん張り、9時間には4、5位に浮上した。古北は日本人3位を維持しながらも大腿痛に耐えられずに後退、脚の神経痛を押して出場の大島も苦戦し、本田に至っては長時間の歩きが入って大きく順位を落とした。
中盤から後半にかけての日本選手は大半が苦しみに喘いでいた。竹田は胃腸の不調で2時間以上の休憩を強いられ、大島も後半はほとんどすべて歩き通し、渡航直前の不慮の事故による怪我の影響が残った伊藤も涙ながらの走りだった。しかし、決して諦めることはなく、チーム全体の士気を落とすまいと踏ん張った。
後半から終盤は、復活した本田が5分/kmを切る目の覚めるようなペースで熱く燃える走りを長時間に渡って続けて安孫子、井上を勇気付け、団体戦への心のつながりを確認しあった。安孫子は最後まで毎時ほぼ10kmを安定して叩き出す集中した走りでメダルまであと1歩と迫るも、惜しくも4位に留まった。しかし、255.487 kmは日本歴代6位の記録という圧巻の活躍だった。日本男子チームは地元ポーランドとラスト1時間を切ってからも4位争いの接戦を演じたが、併催の欧州選手権での団体メダルを狙うポーランドのチーム一丸となった驚異的なラストスパートに屈して5位で競技を終え、初めて団体の表彰台を逃した。
日本女子は伊藤が執念で215km超を走破して一人気を吐いた。選手権個人競技では、男子が終始独走で他を圧倒したアメリカのモートン、女子は終盤の猛チャージで見事逆転優勝したチェコのディミトリアドゥが、それぞれ大会新記録で初優勝した。
2012 IAU 24時間走世界選手権結果
(ポーランド・カトヴィツェ、2012年9月8〜9日)
【男子個人】 | |||
1 | Mike Morton(アメリカ) | 277.543 km | |
2 | Florian Reus(ドイツ) | 261.718 km | |
3 | Ludovic Dilmi(フランス) | 257.819 km | |
4 | 安孫子亮 | 255.487 km | |
16 | 本田正彦 | 242.286 km | |
18 | 井上真悟 | 240.791 km | |
55 | 竹田賢治 | 211.910 km | |
59 | 古北隆久 | 208.235 km | |
89 | 大島康寿 | 192.058 km | |
【女子個人】 |
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1 | Michaela Dimitriadu(チェコ) | 244.232 km | |
2 | Connie Gardner(アメリカ) | 240.385 km | |
3 | Emily Gelder(イギリス) | 238.875 km | |
15 | 伊藤夕子 | 215.793 km | |
82 | 工藤真実 | 122.004 km | |
90 | 鈴木琴美 | 20.393 km | |
【男子団体】 | |||
1 | ドイツ | 759.457 km | |
2 | フランス | 756.710 km | |
3 | アメリカ | 754.786 km | |
4 | ポーランド | 741.267 km | |
5 | 日本 | 738.566 km | (安孫子、本田、井上) |
【女子団体】 |
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1 | アメリカ | 694.620 km | |
2 | フランス | 666.503 km | |
3 | イギリス | 666.461 km | |
18 | 日本 | 358.192 km | (伊藤、工藤、鈴木) |