2016 IAU 50km 世界選手権 結果

第2回 IAU 50km世界選手権が2016年11月11日にカタール・ドーハで開催され、日本代表選手は男子5名、女子1名が参加した。ドーハでのIAU 50kmの開催は3年連続3回目であり、過去10月、12月と開催時期が移動し、今回は11月となった。日中の気温は30℃近くに上がり、日没後は25℃以下に下がるものの湿度が増すという独特の気候に加え、今年から変更になった約90%がレンガブロック敷の不整路面、さらには中東での食事といった難しい条件の中、日本選手の多くが実力を発揮することができなかったが、男子の風見尚(愛知陸協)は、学生時代からのトップレベルでの競技経験を生かし、細かい配慮をもった準備・調整とレースへの高い集中力を発揮し、自己ベストを更新しての4位入賞を果たした。第3回の世界選手権も2017年にカタール・ドーハで開催されることがすでに発表されており、代表選考会として、12月17日開催の神宮外苑ウルトラマラソン50kmが指定されている。

【男子】
1 Anthony Migliozzi USA 2:54:02
2 Tyler Andrews  USA 2:56:04
3 Collen Makaza ZIM 2:56:58
4 Nao Kazami (風見尚) JPN 2:57:47
5 Andrew Davies GBR 2:58:25
6 Michael Kallenberg GBR 2:59:30

20 Masashi Tanaka (田中正志) JPN 3:34:34
22 Tomoya Sugimoto (杉本智哉) JPN 3:38:38
25 Kota Tachikawa (立川幸太) JPN 3:57:55
28 Hikaru Ideguchi (出口光) JPN 4:27:49
(出走32名、完走29名)

【女子】
1 Risper Kimaiyo KEN 3:22:45
2 Nele Alder-Baerens GER 3:25:53
3 Amy Clements GBR 3:26:17
4 Heather Tanner USA 3:29:01
5 Rebecca Hilland GBR 3:34:08
6 Caitlin Smith USA 3:34:22

14 Mai Fujisawa (藤澤舞) JPN 3:44:39
(出走24名、完走21名)

※ 規定により、風見は2017世界選手権の代表内々定となる。

【ナショナルチーム対抗】
男子
1 アメリカ
2 イギリス
3 ドイツ
4 日本

女子
1 イギリス
2 アメリカ
3 クロアチア

【選手コメント】

風見 尚
「この度はIUA50km世界選手権に参加させて頂き、JUAの方々ならびにチームジャパンとして共に戦って頂いた日本人選手、応援して頂いた方々に感謝申し上げます。6位以内を目標として4位という結果でした。目標は達成できましたが、表彰台まであと一歩だったので嬉しさ半分悔しさ半分といった感想です。今回の大会で良かった点は、走っている時に内臓のトラブルがなかったことだと思います。具体的に対策したことは、食べ物を日本から持参しました。悪かった点は、レース後半足に疲労が溜まりペースを落としてしまったことです。コースの大半が石畳みで路面の硬さが原因ではないかと思います。対策方法としては、普段の練習コースにあえて硬い路面を入れるなどして足を慣らせることなどが必要かなと感じました。最後にこの貴重な経験を今後の競技、指導に活かしていきたいと思います。」

立川 幸太
「今回、初めて世界選手権という経験をさせていただくことができました。結果の方は最初から身体が動かず、完走こそ出来ましたが…とても満足のいく結果ではありませんでした。チームにも迷惑をかけてしまい、非常に悔しい思いをしました。海外の試合の難しさというものを肌で感じることになってしまいましたが、逆に凄い体験をさせてもらえた事に感謝しています。日本の試合とは違ったあの迫力、興奮感は最高でした。この経験を忘れずに、これからの人生に活かしていきたいと思います。」

出口 光
「この度、第2回IAU50kmウルトラマラソンに参加させて頂き、誠にありがとうございました。私自身としては、最高の状態で挑めているはずでしたが、いざ走り出すと体調が悪く、全く普段の走りをすることができませんでした。期待して下さった多くの方々に申し訳ない思いでいっぱいです。今後、私は24時間走で上を目指したいと考えていますので、この貴重な経験を生かして今後とも頑張りたいと思います。本当にありがとうございました。」

田中 正志
「初海外で初めてのレース、初めての日本代表と、初めて尽くしの貴重な経験をさせてもらいありがとうございました。レース当日は、スタートは気持ちよく切れましたが、全く違う環境でコンディションを合わせられず、腹痛、マメができて思うようなレース運びが出来ず、50kmを完走するのみの走りになってしまいました。今年のメインのレースと考えて準備してきたので、あまりに不甲斐ない走りでショックは大きいです。食事、水、時差など日本と異なる環境ばかりで、コースは日本にはないような硬い石畳。実力をしっかりと発揮できるようにコンディションや事前の準備を整えることが出来れば、日本代表チームは団体で上位に入れるはずで、来年の日本代表チームに期待しています。大会に出場するにあたり、大勢の皆さまのご支援があり、レースに出場することが出来ました。心から感謝申し上げます。」

杉本 智哉
「3年連続でドーハ50kmの世界大会に参加させていただきました。夏以降故障続きで準備不足であったものの、男子選手は私以外の全員が初のドーハ。私には、過去2回の失敗経験から他の選手へアドバイスをする大きな役割もあると認識していました。しかし、独特な気候や食事、時差等による現地調整の難しさをメンバーへ伝えきれず、結局、私も含め5人中4人が不本意な結果となってしまいました。それぞれが実力を発揮できれば獲得できたはずの団体3位も逃してしまい、悔しさとともに皆様に申し訳ないという思いが残ります。個人で入賞した風見選手のレースへ向けた意識の高さや本番での集中力、海外のトップランナー達の力強い走りを間近で見ることができたのは貴重な経験でした。今後も様々な環境でレースに参戦すると思いますので、今回の経験を糧に、どんな状況でも可能な限り準備を整えてスタート地点に立ち、確実に力を発揮できるようにしたいです。今回同行した皆様、日本から私を送り出して応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。」

藤澤 舞
「ドーハでの大会出場は、100kmの世界選手権を含め4度目となり、今大会では昨年第1回大会の(世界大会における)自己記録と順位(3時間41分27秒・10位)の更新を目標に挑みましたが、35km以降のペースダウンにより、満足のいく結果を残すことができませんでした。路面の硬さや気象条件、食事の違いなど、コンディションはある程度把握していましたが、やはり、海外レースで結果を出すことの難しさを感じると同時に、世界とのレベルの差を肌で感じました。今大会において新たな課題も浮き彫りになり、今後はこの経験を活かして更にトレーニングを積み、また来年の世界選手権でリベンジしたいと強く思いました。今回、一緒に戦った日本チームの皆さま、日本で応援してくださった皆さま、本当にありがとうございました。」