平沢選手健闘及ばず21位
力の差を見せつけた南アフリカ、イギリス勢
第二回IAU50キロワールドトロフィー・ファイナルは10月31日、イベリア半島の最南端ジブラルタルで行われた。ジブラルタルは地中海と大西洋、ヨーロッパとアフリカが交差する地点。わずか6キロ平方メートルのこのイギリス領土には3万人の人々が住む。フェニキア人、ローマ人、ムーア人、スペイン人、イギリス人が残した偉大な文化遺産の融合より形成されている特異性は人々を魅了してやまない。
ジブラルタルの海
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ロックから望むジブラルタルの街・海
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大会前日の平沢選手
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レース前の平沢選手
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一年のうち300日以上が快晴というジブラルタルだが、レース当日の朝から昼ごろまで、海上を覆う靄が広く陸地まで伸びて、10メートル先もよく見えない状況だった。
ところが、午後2時30分のレースが始まる頃には太陽が燦々と照りつける真夏のような気候となり、気温は25度にまで上った。
スタートの直前、緊張の瞬間 |
同レースは、IAU認定の世界で11レースの選考大会から、男子3時間20分、女子3時間50分の基準タイムを突破したランナーの決勝大会。選りすぐりのランナー男子29人、女子11人が決勝に挑んだ。
日本からは今年のサロマ湖100kウルトラマラソン50キロの部で優勝した
平沢直樹選手(海外養蜂)が参加した。
50キロのコースは、海岸沿いで、最初の折り返し2キロの後、4キロの往復8キロを6回繰り返す。アップダウンが計7回、ところどころの急カーブや直角に曲がる狭いロードもある厳しいもの。
トップグループの中で駆け引きをしながら勝負する”戦略”を得意とする平沢選手は、スタートから飛び出し、先頭に立った。しかし、はやくも2.5キロあたりでアメリカのワーディアン選手がペースを上げ、後続の南アフリカのノンヤナ選手とともに平沢選手を抜いてトップに立った。平沢選手が想定していた以上のハイペースであった。5.55キロ過ぎからアメリカ、南アフリカ、イギリスの2選手がペースを上げ始めトップ集団となり、そこからはアメリカの選手を挟んで、南アフリカ、イギリスの2選手のトップグループの争いとなり、最後はデッドヒートの末、南アフリカのノンヤナ選手が抜け出して優勝した。
力走する平沢選手
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平沢選手ゴール
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優勝のルーカス・ノンヤマ選手(南アフリカ)
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レースのはじめから終わりまで、激しい日差しを受けて、ほとんどの選手がスポンジの水を頭からかけて濡れている。平沢選手は20キロ過ぎから先頭集団から離れ始めたが、ペースを乱さずに、安定した走りを続けた。38キロ地点では前を行く選手たちとの距離を縮めはじめ、上位入賞の可能性があると思わせた。
しかし、42キロの折り返し、最終ループに入るころから、脱水症状ぎみとなり、吐き気を感じ、足元がふらつくほどの走りとなってしまった。
強気に優勝、上位入賞を狙っていた平沢選手だったが、頻繁なアップダウン、直角の折り返しや曲がりくねった難コースが大きく立ちはだかった。
なにより、日射病の症状を招いた強烈な日差しは日本では経験がないことであった。
一時はリタイアか、と思わせるほどの状態であったが、最後の周回では気力で盛り返し、力強く完走を果たすことができた。
平沢選手にとって学ぶものが多い大会となったようだ。
平沢選手ゴール後 ”疲れた~” |
成績
男子
1位 ルーカス・ノンヤマ(南アフリカ)2:58:03
2位 ポール・モリヌ(イギリス) 3:00:15
3位 マイケル・ワーディアンス(アメリカ)3:00:56
4位 デビット・カークランド(イギリス)3:03:10
5位 ジュリアン・レンダル(イギリス)3:12:35
6位 ピーター・ヴェルミシュ(ベルギー)3:13:40
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21位 平沢直樹(海外養蜂)3:48:53
女子
1位 ピーター・セミック(アメリカ)3:29:48
2位 モニカ・カリン(イタリア) 3:37:10
3位 レスリー・トレイン(南アフリカ)3:38:23
4位 ジューン・ペトリー(オーストラリア)3:44:35
5位 アマンダ・スティッケル(アメリカ)3:3:52:38
6位 ヒーサー・ファウンディング(イギリス)3:58:58
レース中ロック山上を舞う鴎
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戦いすんで、夕日が海に沈む
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IAU50k World Trophyファイナル2009完走証
(IAU&ジブラルタル陸上競技連盟) |
IAU50k World Trophyファイナル完走メダル
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<編集後記>
旅行もふくめて、これほどハプニングが多かったIAUの大会はめずらしかったですね。終わってみればご愛嬌ですがーー。
・レースディレクターが2日前に変更になった(理由は不明)
・レースコースが2日前に変更になった
・レース前日に渡されるはずのゼッケン2枚は、当日の昼ごろ1枚渡されただけ。留めるピンはナシ。
・スペシャルドリンクのデリバリー先がレース直前になるまで不明。
・ 不慣れなマーシャル。コース上にランナーが座り込んでも、どかせようとしない、などなど。
帰途、スペインのマラガで空港に向かうバスが急に止まり、1時間近くも動かない。空軍の飛行機の滑走路が道路を横断していて、現在は飛行訓練中という!!
その間何の説明もない。立ち往生した人も車もぎっしりで、訓練の終わるのを切ない気持ちで待たされました。私は飛行機の出発時間に余裕があってので、助かりましたが、そうでない人はどうしたのでしょうか?
そして、なによりマイッタのは、狭いミニバスに同乗していた、とある国の”アニメ声”の女性ランナーが、宿舎から空港までの3時間半、10秒の途切れもなく、甲高い大声でしゃべり続けたことです。
別れるときに”おかげさまで耳がこわれました”といいました(笑)。
(レポート:小林荘平、写真:小林荘平・平沢直樹) |