IAU50kmワールドトロフィー・ファイナル2011(オランダ)続

レースレポート 岩山海渡(千葉陸協)

8月20日(土)にオランダのAssenにてIAU50kmワールドトロフィー・ファイナル2011が開催され、日本選手として永井さん・江崎さんとともに出場させて頂きました。昨年は何をするにも一人で「自分が理解できなかったらずっとわからないまま」でしたが、今年は協力する相手がいたのでとても心強く感じていました。しかし、何事も完璧に準備する日本の大会と比べ、やはり海外の大会では何が起こるかわからないということを今年も感じました。

【大会前日】
Assenの中心街にある広場で大々的にオープニングセレモニーが行われました。道行く人たちはおそらく「なんの騒ぎだ??」と感じていたことでしょう。司会者が大会の主旨などを説明した後、突然一人の選手が呼ばれインタビューが始まりました。「これはなんだ?」と思っていた矢先に「Kaito Iwayama–」と名前を呼ばれ中央へ。あまりに唐突だったので何も準備できず、しどろもどろになってしまいました。その後も次々と選手が呼ばれていく状況を見てようやく、出場選手全員に抱負などを聞いているとわかりました。不安を隠せない永井さんと江崎さん。いつ呼ばれるかわからない苦しい心中だったと思いますが、永井さんは落ち着いた受け答えでしっかりと役目を果たし、最後は江崎さんが流暢な(?)オランダ語の逆インタビューで締め、会場の注目をすべて奪っていきました。
日本人の感覚では「レースを翌日に控えた選手を外に長時間放置するなんて」と感じるかもしれませんが、大会を盛り上げる意味ではとても面白い催しだったと思います。海外の大会では、どっしりと構える「精神的な余裕」を持つことが、大会を楽しむ秘訣ではないかと感じました。
【大会当日】
天候は晴れ、気温は涼しく走るにはちょうど良いくらいでした。スタート1時間前に会場入りしましたが、この時点でコースについてわかっていることは「5kmの周回を10周する」「コースの80%は舗装されている」ことくらいでした。コースを下見する機会はなく、スタート地点すら把握できていない状況。その程度のことは想定していましたが、スタート地点だと教えられて待機していた場所が、スタート直前になって間違いだと気づいた時は少し焦りました(そこはゴールでした)。そんなことがあったので、整列してまもなく「スタート5秒前」のアナウンス。緊張する間もありませんでした。
今年はケニアをはじめアフリカ人選手が数名エントリーしていたので、当然彼ら主導のレースになると思っていました。しかし誰も行く気配がなく、あっという間に先頭に出てしまいました。そのまま1kmが過ぎ、2kmが過ぎ「このまま行けてしまうのでは?」と、あるはずのない期待を抱いた直後に聞こえてきました、数人の足音が。5名のアフリカ人選手が集団で追い抜いていきました。しかしまだレースは序盤。焦らずマイペースを守ることにしました。ここまでの短い時間でしたが、“世界のトップを走っていた”ことは貴重な経験となりました。
コースを1周走っての印象は「路面への対応が難しい」でした。事前に聞いていた通り未舗装の砂利道は20%くらいでしたが、それよりもむしろ途中1kmくらい続く石畳の方がやっかいでした。硬いうえに細かい凹凸が足への負担になるので、どこを走るか考える必要がありました。森の中で日陰が多く、高低差がほとんどない平坦なコースでしたが、オーバーペースで力任せに行こうとすると後半が苦しくなるコースだと感じました。
コースにはすれ違う部分があり、そこで先頭集団の様子を確認することができました。明らかに速いペースで「これは彼らでも最後まで持たない・・・・・・(といいな)」と言い聞かせて後半勝負に懸けました。とても不安でしたが距離が進むにつれ、一人また一人と背中が大きくなり徐々に順位を上げていきました。45kmを過ぎたあたりで急激にペースを落としてしまい、競っていたベルギー選手には置いて行かれましたが、なんとか後続を振り切ってゴール。周りの方々が「スリー」と叫んでいるのを聞いて「3位なのかなぁ」と思いましたが表彰式で名前を呼ばれるまでは確信が持てませんでした。
運が味方してくれた面もあることは自覚していますが、願ってもない表彰台にのぼれたことは素直に嬉しく思います。しかし自己記録を更新できなかったことに悔しさもあります。慣れない環境で自己記録を更新した永井さんと江崎さんの“強さ”を改めて感じました。また、今回強く感じたのは「あきらめないこと」が大切だということです。特にウルトラマラソンは長丁場なので、本当に最後まで何が起こるかわかりません。強いアフリカ選手だって失敗するかもしれない。思い込みで弱気にならないことが大切だと思いました。そのためには「自分は失敗しない」ことが前提なので難しいところではありますが、これからもそうした気持ちを忘れずに挑戦したいと思います。
最後になりますが、ご多忙にもかかわらず今年も関係各位との調整を行って頂いたIAU理事の小林様や、現地で様々な面でお世話になったMr.Nadeem KahnをはじめとするIAUの皆様、大会運営に尽力頂いた多くの方々のおかげでIAU50kmワールドトロフィー・ファイナルが開催され、そして日本選手が参加できましたことを感謝致します。また、不慣れな環境でもしっかりレースに臨めたのは、永井さん・江崎さんという心強い“戦友”の存在も大きかったと思います。“Team JAPAN”ありがとうございました。

レースレポート(IAUワールドトロフィー50kを走って)江崎由佳(九電工)

今回初めてのヨーロッパで移動や治安などの不安もありましたが、すごく価値ある1週間となりました。英語ができない為ホテルとのやりとりがうまくいかず夕食がとれない事やホテル代の請求の詳細がよくわからないけれど聞けないなど、自分の英語力のなさを実感しもっと勉強しなければと思いました。けれどレース前日 、当日は永井さんや岩山さんと合流し、沢山の場面で助けれ本当に心強かったです。

アッセンはハウステンボスの様な素敵な建物が立ち並び、緑が広がる遊歩道も沢山あって歩いているだけでとても癒されました。
コースでは1k弱続くレンガのデコボコな石畳が後半足にきましたが、全体的にほぼ平坦で林道で影になる場所も多く、サロマよりも条件はとても良かったです。
レースにおいては、1k4分10秒切でいったら3番にはなれるだろうという甘い考えがあり、1周目以降、7周目までは楽に自分のペースでいこうとマイペースで走ってしまいました。結局自分との我慢大会のレースとなってしまい、レースで勝負できていない自分がいました。しかし、目標としていた3時間30分が切れ たことは、一緒に走っている日本の仲間がいるから最後まで頑張れきれたと思います。永井さん、岩山さんには本当に心から感謝しています。ありがとうございました。
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