2023 IAU 24時間走世界選手権 結果

2023 IAU 24時間走世界選手権が12月1日(金)~2日(土)に台湾・台北市内の公園の特設2km周回道路コースで開催され、日本代表派遣選手男女4名ずつが参加しました。世界選手権は、2019年以来、コロナ禍を経て4年ぶりの開催となりました。台北においては2006年2月に24時間走世界選手権が開催されていますが、日本は男子が個人・団体で金メダル、女子が個人で金・銅メダル、団体銀メダルと世界を席巻しました。18年の時を経て、依然として日本が24時間走で世界レベルにあることをアピールするべく、大会に臨みました。

レース前日から雨模様だったものの、当日は雨が降りそうで降らないような天気でさほど低温ではなく、むしろ長距離走には好適な条件でスタートしました(40ヵ国、249人)。男子は100kmと24時間走の現世界記録保持者で史上最速のウルトラランナーとされているリトアニアのソロキン選手が4分/kmそこそこのペースで先頭グループをリードし、それを日本の曽宮選手らがマークしていましたが、曽宮選手はいったん先頭に出ると単独でリードを広げて、50kmを3:22で通過。しかし、その後は消化器系のトラブルでペースが安定せず、100kmを7:48で通過するものの、上位争いからは離される形で後半は耐えるレースとなりました。時に強い風が吹き、日没後と夜明け前には降雨にも見舞われた厳しい状況の中、出場選手は皆が我慢の走りを続けました。曽宮選手は終盤にペースアップして最終的に250km超は確保し、日本男子選手最高の22位(総合24位)となりました。後半型の石川選手、高橋選手は前半はマイペースでレースを進めたものの、本来の調子とはいかず、後半はペースダウンしました。しかし、高橋選手はラスト2時間で22kmを走破するなど復活して、240kmをクリアして30位に入りました。小野選手は100kmまでは順調に走っていたものの、以後、苦しいレースとなり、16時間過ぎで無念の競技中止となりました。男子の優勝は圧倒的な力を見せつけたソロキン選手が301.790kmで2019年の前回大会(フランス・アルビ)から2連覇を果たしました。上位3選手の合計距離を争うチーム競技では、日本男子は序盤はリードを保っていたものの、中盤以降は全員が苦しむ中で順位を下げて、最終的に7位となりました。

女子のレースは、前回の2019年大会を270.116kmの世界新記録で優勝したヘロン選手が優勝候補としてレース前から注目されており、実際にスタートから先頭グループの中心にいましたが、そこに仲田選手が付く展開となりました。仲田選手は早いうちに先頭に立ってからは快調にラップを刻んでじりじりと後続を引き離していきました。仲田選手のペースは1年前にアジア記録(256.024km)を樹立したときからはやや遅れていたものの、後半も雨や強風、低温の悪条件に関わらず、ほとんど休まずに5分30秒前後/kmのラップをコンスタントに刻み続けて終盤を迎えました。ラスト3時間を切ってからは、日本チームのみならず会場全体の世界記録更新への後押しの応援の輪が広がる中、ラスト30分ほどは息の詰まる展開になりました。仲田選手は驚異の体力と精神力で渾身のラストスパートを決め、270.363kmとヘロン選手の世界記録を0.239km更新して初優勝しました。日本女子は、楠瀬選手と加藤選手が自己ベストを目指して前半から飛ばしたものの、ややオーバーペースだったのか中盤以降はペースを落としました。しかし、日本チームエイドにも励まされてあきらめずに粘り切って、2013年オランダ大会以来10年ぶり7度目の団体銀メダルを勝ち取りました。加藤選手は併催された世界マスターズ選手権にもエントリーしており、50-54歳の部で優勝しました。故障を抱えてスタートした兼松選手は痛みを堪えながらも自身の2度目の24時間走世界大会を全うしました。

次回IAU 24時間走世界選手権大会は、2025年10月にフランス・アルビで開催されることが発表されています。

【男子・個人】
1. Aleksandr Sorokin (リトアニア) 301.790 km
2. Fotios Zisimopoulos (ギリシャ) 292.254 km
3. Andrii Tkachuk (ウクライナ) 284.540 km

23. 曽宮 道 252.732 km
30. 高橋 伸幸 240.845 km
51. 石川 佳彦 226.000 km
118. 小野 喜之 144.000 km
(出走 138 人)

【男子・チーム】
1. リトアニア 813.368 km
2. ポーランド 787.964 km
3. イギリス 772.127 km

7. 日本 719.578 km
(対象26チーム)

【女子・個人】
1. 仲田 光穂 270.363 km ※ 世界新記録
2. Olena Shevchenko (ウクライナ) 254.463 km
3. Patrycja Bereznowska (ポーランド) 249.541 km

28. 加藤 千代子 219.369 km
35. 楠瀬 祐子 213.180 km
47. 兼松 藍子 198.902 km
(出走 111人)

【女子・チーム】
1. ポーランド 726.552 km
2. 日本 702.911 km
3. チェコ 697.275 km
(対象19チーム)