第6回 神宮外苑24時間チャレンジ レースレポート 10月15日〜16日

 2006年12月に国内初のIAU公認24時間走レースとして始まった神宮外苑24時間チャレンジ大会も2011年の今年で第6回となる。開催月は12月、7月、9月と移動してきたが、今年は10月中旬という比較的良好な気象コンディションが期待される時期での開催になり、選手のモチベーションも上がっていた。しかしながら、大会当日のスタート時は雨。それでも初日の日中は雨も止み、やや蒸し暑さは感じるものの曇天で走りやすかったように思われた。
 今大会は24時間走レースのエントリーが例年より多く、男子66人、女子14人の計80人という盛況ぶりだった。また、2011年の世界大会が中止になったこともあり、国内の24時間走のエリートランナーは早い時期からこの大会に照準を合わせて調整してきたようだ。
特に近年に実績がある選手は優待選手として出場することになっていたが、果たしてこれらの選手のほとんどが如何なくその実力を発揮して、おおよそ順当なレースとなった。
 男子のレースの前半は2週間前のスパルタスロンで2位に入った境祐司選手(第2回大会優勝)が、その疲れを表面的には感じさせない軽い走りでリードを奪ったが、中盤からは一気に疲労が出て休憩が目立ち始めた。替わって、やはりスパルタスロン帰りの大島康寿選手が1位に踊り出るも、この大会だけに絞って並々ならぬ気合で臨んできた本田正彦選手(第3回大会優勝)が意地で首位を奪い、夜明け前の強風雨をものともせずにそのままトップを独走。本田選手はラストになって疲労に加えて日照りと気温上昇の影響もあってか内蔵に不調をきたしてフラフラになりながらも、なんとか猛追してきた古北隆久選手(第5回大会優勝)を約1周差で振り切って3年ぶり2回目の優勝を飾った。本田選手と古北選手は250kmを突破し、国内の同一大会で初めて複数の250km台の記録が誕生した歴史に残るハイレベルな大会となった。
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男子優勝の本田正彦選手(253.613km)

 女子のレースは、2008?2009年にかけて220km台の記録を出していた日本代表選手の経験がある桑原章恵選手が積極的なレースを展開し、優待選手で歴代チャンピオンである白川清子選手(第4回大会優勝)と伊藤夕子選手(第5回大会優勝)との三つ巴の競り合いを演じた。その後、100km過ぎると白川選手が確固とした独走態勢を築き、後半もペースを大きく落とすことなく安定して走り切って、2年ぶり2回目の優勝を果した。白川選手は国内最高となる自身の大会記録を大幅に更新し、日本人女子として3人目の230km突破者となり、名実ともに日本を代表する24時間走のエキスパートランナーとしての地位を不動のものとした。2位には終盤になって息を吹き返した伊藤選手が220kmをクリアして入り、後半の転倒の影響でペースが乱れた桑原選手は3位となったが、前半の攻めの走りは目を引いた。
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女子優勝の白川清子選手(232.418km)

 優勝争い以外にも、男子では終盤に自身国内ベストの240kmを目指して果敢にチャレンジした安孫子亮選手、中盤にスパルタスロンの疲労が襲ってきて気持ちが切れかかりながらも「230km以上で5位以内」という日本代表内々定基準を死守すべく我慢の走りを貫いた境選手や、惜しくも5位には届かなかったが、課題であった後半の走りをうまくまとめて大幅自己ベストを打ち出した日浦泰博選手、終始淡々と走っていて目立たなかったものの、見事に220kmを突破した樹神元博選手と小谷修平選手らの走りは応援する側を熱くさせた。
女子でも、鈴木琴美選手が1年前の出産からの復活を200km超える公認自己ベストで果たし、今大会での内々定基準のクリアこそできなかったものの、日本代表レベルの実力があることを示した。当大会はすでにIAU銀ラベル大会になっていたが、今大会の結果にて、ついに次回大会では金ラベルの資格を得たことになり、競技内容の充実度としては世界に誇れるレベルの大会に成長してきたと言えるであろう。
 一方で、本大会は山手線内の都会の真ん中の一般道を使用してのレースであり、走路整理スタッフの手際の良い誘導と一般歩行・走行者や周辺住民の協力なくしては成り立たないことを決して忘れてはならない。大会運営にあたったボランティアスタッフの方々もまた、大切な“大会の参加者”として、その活躍は存分に賞賛されるべきなのである。

上位結果

男子

km

本田正彦

253.613

2

古北隆久

252.177

3

大島康寿

245.933

4

安孫子亮

238.338

5

境祐司

236.497

6

日浦泰博

232.576

7

樹神元博

221.287

8

小谷修平

220.244

 62人出走

女子

km

白川清子

232.418

伊藤夕子

223.659

桑原章恵

215.862

4

鈴木琴美

207.299

5

松沼佳子

189.063

6

越野智子

168.869

7

兼平八寿子

167.167

8

長瀬陽子

165.406

 12人出走